驚くほど日があいてしまいましたね。失礼しました。この間、なんにも食べてませんでした、てわけもなく、なに食べてたんだっけ?……いろいろと初挑戦したお料理もあったんだけど、実はどれもこれも食べるのに夢中で、「げっぷ」になってから、お、写真……と気づく有様。ヒトはお腹がいっぱいにならないと、余裕が生まれませんことよ。
ということで、一挙に立春! 本日2月4日は立春であります。日本では私くらいの年齢の人間だと、こういう立春とか仲秋の名月とか、さすがに耳にしたことはあるわけですが、お祝いをした覚えはほぼなし。うちの母がものぐさだったのか、それとも彼女自身もそういうことを祝う家庭に育たなかったのか、子供が喜ぶ節分すらも「掃除が面倒」と嫌がってやらせてくれなかったし。ま、それは極端な例として、立春とか仲秋の名月をお祝いする日本の家庭はもうほぼなくなってしまったのではないでしょうか。……ところで、立春って日本ではどうお祝いしてたんだろう?
中国では立春は春巻き、なんだそうです。端午の節句はちまき。中秋節は月餅。お祝いの意識はもともと同じだったはずなのに、日本のそれはもうすっかり原型を留めておりませんな。ところで節分の原型は見られないので、あれって完全に日本の文化?
それにしても、立春は春巻きを食べるなんて、北京に来てからここ数年で知りました。その前はずっと香港で14年間も暮らし、飲茶に目がなくて、飲茶といえば春巻きで……という、もともと揚げ物フリークなこともあって、春巻きよく食べてました。でも、立春に春巻き? ある意味、中国国内よりも伝統的な家庭文化が残っている香港では、立春をどう祝ってたんだっけ?……あんまり、目だった祭日ではなかったことは明らかですが、かぼちゃを食べるという冬至と比べてもかなり遜色アリ、ですな。もしかしたら、北と南じゃ、春の意味も違うしさ、お祝いの中身も違うのかもしれません。とにかく、現代香港人はぜったいに「立春だから春巻き」なんて連想は無い。
ま、郷に入れば郷に従え、ということで、日本では日本の家庭料理を学ばなかったわたしも、香港で香港家庭料理を覚え、北京ではこちらではすんごくポピュラーな「辣子鶏」なんかを唐辛子の煙と格闘しながら作ったり、昼ごはんの麺まで自分で打っちゃったりするほど、「その気」な食生活を送っているわたしが、春巻きに挑戦したのは、北京で最初に暮らしていた芸術家アパートの中でのことでした。誰に言われたわけでもないけれど、「作ったろ~!」と思ったんですね。
豚肉ミンチに下味(酒+塩+コショウ、これに醤油を入れたら塩辛すぎたので今回はなし)をつけて、もやしとニラ、そして干ししいたけの戻したやつを細切りにしたものと炒め合せ、オイスターソースと鶏スープのもとで味をつける。これはほぼ、香港時代から時折開いては家庭広東料理の味を思い出している、アグネス・チャンの『アグネスの香港家庭料理』のレシピそのまま。北方の春巻きは中身がそれほど味濃くないと思うんですが、オイスターソースの代わりに醤油を使っても、ちょっとわたし的にはイマイチ。なので、香港風。
う~ん、幸せ。春もすぐそこ。