いや~今回の香港は濃かったです。かなり、キンチョーもののインタビューを2本こなしてきたこと、そしてそのうちの1本をすぐに原稿化する必要があったこと(で、香港にいるというのに2日間完全にカンヅメになってしまったこと)、でもってだからでしょうか、会う友人を徹底的に選定して連絡をとったこと、ついでに北京から同じ時期に香港入りした中国人O記者の香港返還記念取材に付き合って、おもしろい話を耳にしたこと(ついでに広東語‐北京語の通訳までやった)、と、まぁいろいろ面白かったです。
その間に、今回はこれまでとはまったく違ったやり方で、買物リストもほぼ完璧に踏破しました。やればできる!と、香港買出しの旅にも自信をつけた滞在でした。タコの干し物を買ってこなかったことはちょっと気になりますが、でも昨年12月に2パックに分けて完全真空包装してもらったやつがもう1パック未封切り状態で残っているので、大丈夫なのではないか、と。途中で切れたら、また口実作って遊びに行きゃいいや。
それにしても!今回、香港で驚いたこと。
まず、出発前。常宿ホテルが昨年12月の、なんと2倍以上のお値段だったこと。2倍以上ともなれば、アナタ、かなりのお値段であります。ぶったまげたのはワタシだけではない。わたしの香港滞在時の「執事」W小姐もホテルに尋ねてびっくらこいて早速電話してきた。……でも、しゃーないやないですか。ちょうど予定していた時期、香港ではなんと四つのトレードフェアが開かれていて、特に中国からどっちゃりとお客が来るので……という話でした。でも、この話はウソではなかったようで、ホテルについて荷物を運んでくれるボーイさんと一緒にエレベーターに乗ったら、「トレードフェアに参加ですか?今、部屋代高いですよね…」と気の毒がられました。あんたが気の毒がってどうする!でも、それくらい異常な高さだったということですな。
次に、カンヅメの日々に文具と食事のためにでかけたモンコックで。やたらと寿司屋が並んでいる!そこにまたやたらと人が並んで席待ちをしている!日本人の身ながら、かなり驚きました。同じモンコックで昨年12月に、荷物運び屋の頭を金色に染めたおにぃちゃんが、日の丸のついたサッカーウェアを着て、ごろごろと空の台車を転がしているのを見たのにも驚きましたが。……ここは香港、ほんまに中国大陸とはちがいますな。後でその話を、香港の某時事週刊誌の編集部でしたら、その金髪にぃちゃんと同年代の編集者が「ぼくだって日の丸は違和感はないな。五星紅旗のウェアなんて着れないよ」と言ったのに、「ああ、やっぱりここは香港なのね~」と感じ入ったのでありました。
北京にいると、そんなつもりはなくても、やっぱりどっか身構えている自分がいるのでしょうね。すし屋(回転寿司だけど。でも高級回転寿司という感じでしたね)に並ぶジャパニーズファッションのおにぃちゃんやおねぇちゃんにも、田舎もののわたしはくらくらしてしまいました。もともと香港は日本文化に対して「ウェルカム!」なところはありますが、あそこまで「ジャパニーズばんざい!」だと、こっちは引いてしまいますな。そうやって引きながら、「そんなにうまいのかな、あのすし屋」と次の日の昼、入ってみました……ん~、日本人にとってはどうってことのないすし屋で、やっぱり「これまでどおり、わざわざ金払って日本料理屋に入るのは今後止めよう」と心に誓ったのでした。
次に、今回わたしもかなり忙しかったのですが、その間かなりいろんな興味深い人に出会えたことも収穫でした。政治家のL氏をインタビューした際に写真を撮ってくれたWくん。なんだか、わざわざ北京くんだりから、日本人が、広東語で今年の政治的スター、L氏をインタビューしに来たというシチュエーションがかなり面白く映ったようで、二人で政治談議なんかしたりして。香港人とじっくりと政治談議(中国批判ではなく、香港について)をしたのは、かなり久しぶりでした。やっぱり、香港の政治熱はL氏の出現で高まっている、と肌で感じることができましたね。
あと、偶然ながらO記者にQ氏をご紹介したら、返す刀でH氏を紹介されました。3人ともおんなじグループ企業で働いているわけですが、電話やメールのやり取りをしていても、まだ会ったことがない人もいて、間にわたしのような部外者が入り込んでのご紹介するという「栄誉」にありつくこともあったりして。とはいえ、以前O記者が紹介してくれた同社のZ女史にも初面会、さらにZ女史とのお仕事で、電話で話をしたことのあったS氏も夜中に出てきてくれて、香港風デザート屋で遅くまでバカ話をさせてもらいました。このS氏、確かかつてサンフランシスコかどっかの華僑向けテレビ局にいたらしいし、台湾風の北京語を話すと思いきや、かなり純正な広東語を話す。本人に訪ねると、広東省で生まれたんだと言っていましたが、噂によると辺境の地の血が流れているのだとか。中国人は本当に奥が深いっす。そのS氏の歯に衣を着せぬ、無国籍風、無派閥風の発言がかなり面白かった。こういう人、一つの社会で生きていくのは大変なんでしょうが、ちょっとお仲間を見つけたような気がしました。
んで、なんだったけか?
あ、そうだ、
「うさぎやさん」の和菓子、そんな大騒ぎをしてきた香港から帰ってきた晩、これまでニアミスで会えなかったOcさんにお目にかかり、いただいたものです。久しぶりでした、和菓子。
最近、年をとってきたんでしょうか、ふと、旧正月前にも近くの外国食品屋で偶然見つけた
「老婆餅」を狂ったように買いこんで食べていたことを思い出しました。
「老婆餅」とは広東省あたりのお菓子で、ある意味日本の最中のような位置づけのお菓子、といえるのではないでしょうか。「老婆」とは広東語(南方方言)で「妻」の意味(でも、最近では北方でも使われています)で、昔は娘の嫁入りが決まると、花嫁の親が親類縁者に配ったお菓子でした。
香港にいたときに決して
「老婆餅」に狂ったことなどありませんでした。どっちかというと、香港はおいしいアフタヌーンティーセットやケーキが手に入るところなので、そういうものをよく食べてはいましたが。ここに来てそんなことになるとは。人間は年をとると昔の味覚を求めるようになるといいますが、わたしの香港生活は20歳をとうに超えてからのことです。幼少返りとはちょいと違うと思うんですが。
それにしても、ほら、この
わらび餅。
包装もかわいらしかったけれど、このたっぷりのきな粉。きな粉を見るのは本当に久しぶりです。あんまりたっぷりかかっていたので、ふと思い立って、包みを開けてからわらび餅を別皿に取り出し、きな粉を別の容器に移し替えておきました。
……何に使うかって? 移し替えた時はこれといって考えていなかったんですが、あとで、こっちで売っている冷凍湯圓(煮て食べるお団子の中に黒胡麻なんかの餡が入っているもの)を煮てそれにまぶして、
香港風「擂沙湯圓」でも作ろうか、と……ありゃ、また香港に戻ってるわ、わたし。
それにしてもこの和菓子セット、上品でおいしかったです。Ocさん、どうもありがとうございました。
うさぎや:阿佐ヶ谷北口弁天通り 電話:3338‐9230/9231